日本人は、高齢者を軽視する国民なのか、という話に戻ろう。そうではなかろう。日本は「敬老の日」があるような国である。長幼の序を重んじる儒教道徳もある。敬老の精神は根付いているのである。じつは、定年制も、敬老の精神と矛盾はしていない。むしろ、エイジフリーなどというほうが、高齢者に酷である。というのは、雇用社会におけるエイジフリーとは。実力主義と同義と考えてよい。実力がポイントだから、年齢は関係ないということなのだ。
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老いも若きも同じ土俵で競争することになるのである。ただ仕事の内容にもよるが。年齢が高くなるに連れて、若い者との実力勝負はきつくなる。そして、実力がなくなれば解雇という形で雇用が終了するのである。たとえば、実力主義の典型である将棋のプロ棋士の世界を見てみよう。将棋の対戦では、どちらが床の間を背にする上座につくかについてのルールがしっかり決まっており、順位が高い者や名人や竜王といったタイトルを保有する者が上座につく。年齢が高くても、どんなに過去に実績があっても、その時点での順位が低ければ下座である。おまけに、実力が低下すると、順位はどんどん下がり、そのうちに引退を余儀なくされる(あるいは、順位とは関係のないフリークラスというところに追いやられる)。これが実力主義の世界なのである。